空間の活用で注目されている「スキップフロア」~後編:マイナス点や注意するポイントを知ろう~

前回の記事では、スキップフロアが持つ魅力的なポイントについてお伝えしました。限られたスペースで空間を上手に利用でき、遊び心も兼ね備えた個性的な住居となるメリットがありましたね。

でも、スキップフロアは単純にメリットばかりではなく、採用することによって生まれるデメリットもいくつかあります。

今回は、スキップフロアが持つマイナス点や注意しておくべきポイントに焦点をあててお伝えしていきます。

◆階段が多くケガのリスクが増える

一般的な2階建ての一戸建てでも階段はありますが、通常は1ヵ所。スキップフロアでは、段数が少なめの階段の設置箇所数が増えるイメージです。通常は、「1階⇒2階」といくところ、「1階⇒中2階⇒2階」と段差が増えます。段差を少なくするバリアフリーを将来的に考えている家庭には不向きの住宅となってしまいます。

特に注意したいのは、階段の昇り降りがスムーズにできない幼少の子供や年配の高い高齢者がいる家庭です。家のなかでケガのリスクが増えるので、慎重に判断しなければならないでしょう。

◆建築のコストがかかりやすい

住宅づくりは、手間と材料が増えると建築のコストに反映されやすいです。階層や収納場所が増えるスキップフロアは、間取り的には複雑になり材料も増えます。複雑な構造は手間もかかるため、全体的なコスト増となることは避けられないでしょう。

狭小住宅を広く見せるときに注目されるスキップフロアですが、「できるだけコストをおさえたい」と考えているなら選択しない方がいいかもしれません。

◆光熱費がかかるかもしれない

風通しがよく快適な住まいになるというメリットの裏返しなのが、光熱費の問題です。壁やドアが少ないため、「空気が逃げる」というデメリットに繋がっています。開放的ですが光熱費の負担が増えることを理解しておきましょう。

ただ、建築実績の多い施工業者へ依頼すれば、気密性や断熱性を考えて設計してもらえます。設計次第では、光熱費が極端に激増するリスクも避けられるかもしれません。スキップフロアを導入する前には、そういった不安点も施工業者に相談してみるといいですね。

◆プライバシーが筒抜けになるリスク

開放的な空間となるため、「家族の距離が縮まる」というメリットがありました。しかし、このメリットもひとつ間違えばデメリットのひとつ…。リビングの話声が階段を通して上の子供部屋に筒抜けになれば、「両親のケンカしている声が聞こえてイヤだ」という事態も起こるかもしれません。また、子供の友達が遊びに来ているときに「2階ではしゃいでいる声が下のリビングまで響く」という落ち着かなさを感じるかもしれません。

壁やドアで仕切られている住宅とは、音の漏れ方が緩いと認識しておく必要がありそうですね。

◆まとめ

メリットとデメリットは直結している部分も多いので、それをどう感じるかは住む人次第と言えるでしょう。一般的にデメリットと思えることでも、人によっては「面白い!」とプラスに考えられることもあるかもしれません。

また、個性的な構造である住まいなので、作り手の腕も住まいづくり成功のカギを握ります。満足度を高めるためには、」「メリットとデメリットをきちんと理解すること」「信頼できる腕を持つ業者に依頼すること」の2点に注意しましょう。